孝道山歩(こうどうさんぽ)

2022/05/02

共にこれただひとのみ

〜聖徳太子の遺徳しのび 和のこころかみしめる〜

 五色の幕が春の日差しを浴びています。

 聖徳太子が亡くなられて今年で1400年を迎え、太子創建の四天王寺(大阪市)でご遺徳をしのぶ法要が昨年から先月まで営まれました。四天王寺とご縁の深い孝道山も先月法要を営み、孝道山の式衆(法会をつとめる僧侶)が五色の幕が風にはためく四天王寺のお堂を行道しました。

 聖徳太子は仏教を信仰し、有名な十七条憲法で、仏法僧の三宝を篤(あつ)く敬うべきことを定めています。三宝は仏教で最も大切なもので、仏は仏さま、法は仏さまが説かれた教え、僧はサンガ(僧伽。仏さまの教えを学び実践する仲間)のことです。
 
 法要を務められた岡野鄰子孝道山二世副統理は、米国で暮らした経験から、文化の異なる人と人が「和」を保つことを自身のテーマとしてきたといいます。その中で十七条憲法の次のフレーズに着目してきました。

 「人みな心あり。心おのおの執(と)ることあり。彼よみすれば、すなわち我非なり。我よみすれば、すなわち彼非なり。我かならずしも聖あらず。共にこれただひとのみ」(第十条)
 
 岡野副統理は「自分も相手も愚かなところもあれば、賢いところもある。人それぞれがもつ特徴と美点を謙虚な心で尊重し合うところに和が生まれると、聖徳太子は強調されているのだと思います」と話します。

 2カ月余りも戦火の続くウクライナに、一日も早く「和」が訪れることを祈念します。

2022/04/01

煩悩を離れて悟りなし

〜花まつりは節目の70回 大乗の教えをいま一度〜

 「桜の季節になりましたね」
 にこやかに声をかけてくれる人がいました。境内に200本あるソメイヨシノは3月下旬、三分咲き。昨年よりもスロースペースながら、境内が明るくなり、花を見上げたり、写真を撮ったりする人があちこちに見られます。心が和みます。

 孝道山花まつりは今年、第70回の節目を迎えました。コロナ禍の影響で2年続けて中止した、お釈迦さまのご誕生を祝う潅仏庭儀(かんぶつていぎ)などが本仏殿本堂で行われます。
 
 大乗仏教では、お釈迦さまは遠い昔に仏の悟りを得ることを誓願され、約2500年前に人間として生まれたことを説きます

 「『法華経』には、お釈迦さまがこの世にお生まれになったのは、すべてのものを仏さまの悟りの境地へ導こうとする、深い慈悲のお心によるものと説かれています。仏さまのお慈悲は、無条件の広く深い愛情で、すべてのものに平等に注がれるものです」。こう話すのは、岡野正純孝道山統理です。
 
 そして大乗仏教では「煩悩即菩提(ぼんのうそくぼだい)」を説きます。岡野統理の話を続けます。

 「菩提とは、悟りの智慧のことです。つまり、煩悩がそのまま悟りの縁となることを教えているのです。煩悩を離れて悟りはないと教えたのです」「智慧は理解することによって得られるものです。煩悩を深く理解することによって得られる智慧が、菩提なのです。ですから、煩悩と菩提は対立するものではないのです。深く理解することで、煩悩が菩提へと転換されるのです」

 コロナ禍で季節がめぐって3度目の桜の開花。境内が華やぐその姿に励まされて、困難を智慧と慈悲に転じる心を、いま一度、新たにしたいものです。

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