『安全保障関連法案』に関する声明

いのちと平和の尊さを訴え、本日の参院本会議での安全保障関連法成立に対し、強く遺憾の意を表明いたします。
同法は、自衛隊の海外での武力行使を大幅に拡大するものです。
他国のためにも武力を使う集団的自衛権の行使は、戦争を放棄した日本国憲法9条に根本から違反します。
日本国憲法9条は、歴代政府が遵守してきた平和の理念です。一内閣の閣議決定で憲法解釈を変更することは、国の最高法規である憲法によって権力を縛り、人間の尊厳を守る立憲主義に反する憲法違反です。 かつて軍部が暴走して立憲主義を侮り、第2次世界大戦でアジアの人々に未曾有(みぞう)の犠牲を強いた事実を決して忘れてはなりません。
同法案の意義は「国際情勢の変化に伴い外敵の暴力から身を守る」ことであるとされますが、日本は戦後一貫して対話による外交で隣国との信頼を築いてきました。
このことが脅威を取り除いてきた事実を看過してはなりません。
戦争はいつも防衛を名目に始まります。それは人々の心の中に「畏れ」があるからです。
隣国に攻められるのではないかとの畏れが、武器を持たなくてはならないとの考えを促します。戦争を推進する指導者は、人々の畏れをあおり、戦争への道を敷(し)いていきます。
しかし仏教は、慈悲の心と智慧によって畏れを取り除き、物事を正しく観ることを説きます。
無知は畏れを生じ、偏見と暴力の温床となるからです。
一つの国で生まれた偏見と暴力は、それに対する別の偏見と暴力を相手の国でも生み出します。そのようにして暴力の連鎖が起きるのです。 ブッダは、「実にこの世においては、怨(うら)みに報いるに怨みを以てしたならば、ついに怨みの息(や)むことがない。怨みをすててこそ息む。これは永遠の真理である」(『法句経』第1章5、中村元訳)と説かれています。
誰もが安心して暮らせる社会は、人類すべての悲願です。平和のあり方が根本から問われるいま、同法案の本質である武力の行使では、平和はつくれないことを強く訴えます。
そして、偏見と暴力の連鎖に加担するのではなく、慈悲の心と智慧に基づく対話によって、すべてのいのちを尊ぶ世界平和の実現を希求します。
2015年(平成27年)9月19日 宗教法人 孝道教団